理学療法士のハルです。今回は、「真の腰椎椎間板ヘルニアの見分け方・本当に手術が必要な人とは?」というテーマでみなさまにお話します。
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この記事は1人のために書きました。
ヘルニアで本当に手術が必要な人の症状
![腰椎椎間板ヘルニア 手術が必要な人の症状](https://youtsu-torisetsu.com/wp-content/uploads/2023/04/名称未設定のデザイン-2023-04-19T010519.054.png)
![腰椎椎間板ヘルニア 手術が必要な人の症状](https://youtsu-torisetsu.com/wp-content/uploads/2023/04/名称未設定のデザイン-2023-04-19T010519.054.png)
始めから本題に入ります。
〇ヘルニアによって、腰痛と足の痛み、しびれがあるだけでなく排尿障害などの症状がある
このような症状がある方は、腰痛ガイドライン2022では、
排尿障害などの馬尾障害を伴う腰椎椎間板ヘルニアの場合には緊急手術を行うことが望ましい
とされています。
このような排尿障害などの馬尾障害と呼ばれる症状が出現してから48時間以降では、排尿障害は術後も残存しやすいとも報告されています。
ですので上記の障害が出現した際には緊急に病院受診が必要となります。
では、なぜそのような症状で緊急に手術が必要なのでしょうか?
通常、排尿・排便は脳からの指令で脊髄の神経を伝達することで働きます。
しかし排尿障害は、脳の病気や椎間板ヘルニアなどで脊髄を圧迫されると中枢部が阻害されてしまい、排尿が思うように働かなくなってしまうためです。
それだけヘルニアによる脊髄の圧迫が強いことを指しています。
ですので、ヘルニアをお持ちの方で排尿障害などが出現した場合は、早急に病院受診をした方がいいわけです。
(※前立腺肥大による排尿障害は含みませんのでご注意を)
そのほかにどのような方が手術が必要かをみていきたいと思います。
以前の記事で挙げさせていただいたように腰椎椎間板ヘルニアは、自然吸収されていくものもあります。
(ヘルニアが吸収されるのを知らなかった方は↓↓)
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ですので、すぐに手術ではなく基本的に保存療法というお話も以前させて頂きました。
ですが全く手術がいらないかと言えばそういうわけではありません。
本当に手術が必要な方もいらっしゃいます。
まずは、そもそも腰痛の原因であるヘルニアはどの程度の割合でいらっしゃるか山口県腰痛スタディを思い出して頂きたいと思います。
(山口県腰痛スタディについては↓↓)
![](https://youtsu-torisetsu.com/wp-content/uploads/2023/03/腰痛の原因を-300x158.png)
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山口県腰痛スタディを基に考えると腰椎椎間板ヘルニアが原因で起こる腰痛の原因は3~4%程度となります。
つまり、腰痛の人が100人いて、うち腰痛の原因がヘルニアである人は3人程度ということになります。
そこから、さらにヘルニアの状態によって、ヘルニアが吸収されて症状が改善していく人もいるということを知っておくべきかと思います。
ヘルニアは吸収される病気のため腰痛ガイドライン上では
吸収されるまでの時期である3か月間が保存療法の目安
と報告されています。
保存療法後にヘルニアで手術適応のある人とは?
大矢らの報告では、手術の適応として上記に挙げた排尿障害の方以外には以下の症状をお持ちの患者さん達に手術の適応があるとしています。
①保存療法に抵抗して神経症状が悪化する症例
②著明な下肢伸展挙上制限を伴う、神経脱落所見が強い症例
③保存療法で疼痛と下肢伸展挙上の改善がない症例
保存療法を行い、神経症状(筋力低下や感覚障害が進行)が悪化している患者さんには手術の適応があるとしています。
また、「下肢伸展挙上制限」とありますが、下の図を参考にしてください。
![腰椎椎間板ヘルニア SLRテスト 坐骨神経伸張テスト 図](https://youtsu-torisetsu.com/wp-content/uploads/2023/05/22527789.jpg)
![腰椎椎間板ヘルニア SLRテスト 坐骨神経伸張テスト 図](https://youtsu-torisetsu.com/wp-content/uploads/2023/05/22527789.jpg)
膝を伸ばした状態で足をあげるテストになります。
このテストでは一般的には70°以上まで疼痛なく挙上可能であるとしています。
この下肢伸展挙上にも制限があり疼痛や神経症状が改善がない場合には手術の適応とされています。
まとめ
排尿障害を伴う腰椎椎間板ヘルニアは緊急の手術が必要となる可能性があることをご紹介しました。
また、ヘルニアは吸収する可能性があるため3か月程度の保存療法を行うことが基本であること。
保存療法を行っても、痛みが強い方、筋力低下や感覚障害の進行がある方、下肢伸展挙上の制限が持続している方は手術の適応があるとお話しました。
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その他のヘルニアに関する記事を下にご用意しましたので興味のある方はご覧ください。
「腰椎椎間板ヘルニアの原因・分類・症状について詳しく知りたい」という方はこちらの記事をどうぞ
![](https://youtsu-torisetsu.com/wp-content/uploads/2023/05/名称未設定のデザイン-2023-04-30T212900.244-コピー-2-1-800x420.png)
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「腰椎椎間板ヘルニアの検査・診断について詳しく知りたい」という方はこちらの記事をどうぞ
![](https://youtsu-torisetsu.com/wp-content/uploads/2023/05/名称未設定のデザイン-2023-04-30T212529.260-コピー-2-800x420.png)
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「腰椎椎間板ヘルニアは吸収されて無くなるのかについて詳しく知りたい」という方はこちらの記事をどうぞ
![](https://youtsu-torisetsu.com/wp-content/uploads/2023/03/名称未設定のデザイン-2023-05-05T005738.963-コピー-800x420.png)
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引用・参考文献
・腰椎椎間板ヘルニア 診療ガイドライン2022
・大矢 卓、白井 修:腰椎椎間板ヘルニアの病態と治療
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