理学療法士のハルです。今回は、腰痛の原因の1つである「圧迫骨折」について原因から診断まで様々な事について詳しく説明していきます。
この記事は3人の患者さんのために書きました
圧迫骨折とは? 「腰椎圧迫骨折と胸椎圧迫骨折」の違いは?
今回は、腰痛の原因の1つである圧迫骨折についてみていきます。原因や診断、気を付けることなどをご紹介していきます。
圧迫骨折とは、背骨がつぶれるように骨折してしまう病気の事を言います。
圧迫骨折はどこの場所によって骨折が起こるかで呼び方が変わります。
胸椎で圧迫骨折が起これば「胸椎圧迫骨折」、腰椎で圧迫骨折が起これば「腰椎圧迫骨折」と呼ばれます。
ですので、胸椎圧迫骨折も腰椎圧迫骨折も別物というわけではなく、どこの場所を骨折したかで病名が変わります。
患者さんによっては胸椎圧迫骨折も腰椎圧迫骨折も同時に発症することがあります。
圧迫骨折の原因 受傷機転
圧迫骨折の主な原因としては、やはり骨粗しょう症が一番に考えられます。
骨粗しょう症となり、尻もちなどをついてしまい、背骨に負担がかかり発症してしまうことが多くあります。
また、物を持ちあげたり、立ち上がり動作、前かがみになった時などで発症します。
しかし、転んでもいないのに気づかぬ間に圧迫骨折をしていたという方も多くいらっしゃいます。
圧迫骨折の割合
圧迫骨折の有病率は
60代では8~13%、70代では、30~40%と年齢と主に増加している。
と報告されています。
圧迫骨折の起こりやすい場所 起こりにくい場所
背骨の中で、どの部位が圧迫骨折が起こりやすいのでしょうか?
胸椎の1番~10番では、周りに肋骨があるため損傷の頻度が低いとされています。
腰椎の4番~仙椎も靭帯によって可動性が抑えられているため損傷の頻度は低いです。
では、どこが圧迫骨折を起こりやすいのでしょうか?
胸椎と腰椎が変わる場所で損傷の頻度が高くなります。
ここの場所は胸椎11番~腰椎2番(Th11~L2)ですが、ここは、背骨が後ろから前に曲がっていく移行場所であること、この周囲の靭帯が細いこと、この周囲の肋骨は他と違い関節を形成しないことなどから圧迫骨折を起こす頻度が高くなるわけです。
椎体骨折の分類・種類
圧迫骨折の分類としては、症状があるなしに関わらず、骨の変形によって分類されます。
まずは正常な椎体をみていきます。
椎体は主に前方、中央、後方と分けられます。
次に変形のタイプについてです。
タイプは3種類に分けられます。
①楔状椎(けつじょうつい)
椎体の前方部分の高さが減少する変形
②魚椎(ぎょつい)
椎体の中央部分がへこむ変形
③扁平椎(へんぺいつい)
椎体の全体にわたり高さが減少する変形
圧迫骨折で痛みが出やすい姿勢や動作
圧迫骨折では安静にしている時は痛みは軽快しますが、体動時には腰痛が出現します。
主に寝返り動作や起き上がり動作の時に腰や背中の痛みの訴えが特徴的です。
圧迫骨折でやってはいけないこと
病院にて圧迫骨折の診断を受けたらまずは基本的に安静です。
また圧迫骨折でやってはいけないこととして、体を前に倒す(おじぎをする)動作を行うと、椎骨に負荷がかかるため禁止となります。
そのため前かがみにならないようにコルセットを作成していきます。
基本的には、3~4週程度安静にすることで治ります。
圧迫骨折の診断
実は椎体骨折をされた多くの方が圧迫骨折を引き起こしてることに気が付かないとされています。
その割合はなんと
椎体骨折を起こした方の3分の2が無症候性で症状がなく骨折であることに気づかない
という報告があります。
では、どうやって気づいていけばよいのか、まずは圧迫骨折のセルフチェックをみていきます。
圧迫骨折 セルフチェック
圧迫骨折のセルフチェックとして
①寝返りや起き上がり、立ち上がり動作での痛みがないかの確認
②背中が曲がってきていないかを確認
③最近になり背が縮んできていないかの確認
これら3つが挙げられます。
圧迫骨折の診断、臨床症状、画像所見
骨折の症状としては
〇動作時痛(寝返り、起き上がり動作での疼痛確認)
〇骨折椎体レベルでの圧痛、叩打痛(こうだつう)
上記の2つをみていきます。
特に叩打痛と呼ばれる背中を叩いて骨折部を調べるテストで分かる事も多いです。
画像診断では、主にレントゲンやCT、MRIを用いて診断します。
レントゲンで分かる場合は良いですが、分からない場合にはCTやMRIでの確認が必要となります。
(レントゲン画像)
(MRI画像)
圧迫骨折 骨が付く時期
圧迫骨折をしてから
およそ3か月で骨癒合する
と報告されています。
コルセット 外す期間
圧迫骨折をしてから3か月間で骨癒合するため約3か月間コルセットをすることになります。
しかし、患者さんによっては骨の治りが悪くそれ以上に装着しなければならない方もいらっしゃいます。
ですので、先生が言われるまではしっかり安静にして骨折部に負担がかからないような生活を送る必要があると思われます。
まとめ
腰椎圧迫骨折の原因や分類、診断などについて説明させて頂きました。
圧迫骨折で気づかない方も多くいますが、もし圧迫骨折を起こして痛みがある方はまずは安静が第一となりますのでご注意ください。
最後までお読み頂きありがとうございました。
引用・参考文献
・標準整形外科学
・江藤 文夫:骨折の治療とリハビリテーション
・元文 芳和:骨粗鬆症性脊椎椎体骨折
・椎体骨折評価基準
・骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015
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