理学療法士のハルです。今回は、腰痛の原因の1つである「腰椎分離症」について解説します。
この記事は3人の患者さんのために書きました
※記事を読まれる前に※
今から説明する腰椎分離症の場所は赤〇で示している場所辺りです。
腰椎分離症とは?
腰椎分離症とはあまりなじみのない病名ですが、どのような病気でしょうか?
はい。あまりお聞きしたこともない病名からもしれません。特に腰を反ったり、捻ったりしたときに痛みが出る方が要注意となります。
一緒にみていきましょう。
腰痛分離症の原因とは? スポーツ選手に多い?
腰椎分離症の原因は、スポーツ愛好家に多くみられることから疲労骨折の1つと考えられています。
特に発育期である小・中学生では、未熟な脊椎に加わる負荷により、腰椎にある椎弓・椎弓根とよばれる部位に分離症が生じやすいです。
腰椎分離症 割合
腰椎分離症の割合としては腰痛全体の約6%とされています。
特に体を反った際や捻る際に多く発症しますので、そのような動作で痛みが出るかたは病院の受診をお勧めします。
後ほど説明しますが、分離症の場合は早期発見・早期治療が重要となります。
また、分離症はL5が圧倒的に多いです。
腰椎分離症の診断
腰椎分離症の診断方法をみていきたいと思います。
①体を反った時の痛み(体幹伸展時痛)で痛みを確認
体を反る+捻るの動き(体幹伸展+回旋)で痛みを確認
体を反ったり、捻る時に腰椎の椎弓部には負担がかかります。分離症であれば疼痛が出現します。
特に発育期では片側に限局した腰痛があります。
②one finger test
最も強い痛みを感じている場所に指1本で指してもらうテストとなります。
③圧痛点の確認
重要となるのは棘突起と呼ばれる場所を押して腰痛の有無を確認します。
④画像診断
レントゲンに加え、CT・MRIで判断されます。
特に腰椎CTは正確な病期分類と骨癒合判定のため必須の検査となります。
腰椎分離症の病気分類
腰椎分離症の病期分類や骨癒合 CT・MRIで確認
腰椎分離症の保存療法として、腰椎CTとMRI画像を用いて病期の分類が行われています。
初期では、MRI-STIR画像にて椎弓部、椎弓根部に高信号変化を認めます。
この時期では運動の休止と腰椎分離症用のコルセット装着が必要です。
その結果、94%の患者さんは骨癒合が得られたとしています。
進行期では、CTにて骨折像があり、MRIの高信号の有無によって「進行期」の分類がされます。
CTにてまずは骨折像があり、MRIにて高信号があれば「進行期・椎弓根浮腫あり」、MRIにて高信号がなければ「進行期・椎弓根浮腫なし」と区別されます。
この「進行期・椎弓根浮腫あり」ではコルセットと安静が必要とされています。
「進行期・椎弓根浮腫なし」では骨癒合の可能性が低いためスポーツ復帰のためのリハビリや合併症の予防が必要とされています。
この進行期では45.5%の患者さんに骨癒合が得られたとしています。
末期においてはCT像で骨折像があり、MRIの高信号がありません。
そのため骨癒合する患者さんは0%であるとされています。
そのため、この時期の方であれば不要な安静やコルセットは必要ないです。
腰椎分離症になりやすいスポーツ 気をつける事
背骨に過度なストレスがかかり続けると疲労骨折を起こし分離症を引き起こす可能性が高くなります。
例えばスポーツ活動で背中を反ったり、捻ったりする方は腰椎に負荷がかかりやすいので注意が必要と思います。
スポーツの種類別では男性は野球が最も多く、サッカー、バスケットの順、女性では、バレー、バスケットの順で多かったと報告があります。
まとめ
今回は腰痛の原因の1つである分離症について話をさせて頂きました。
スポーツ活動などを通して体を反る方や捻る機会が多い人がなりやすい腰痛です。今後は、症状に合わせたリハビリを紹介していきます。
最後までお読みいただきありがとうございました
引用・参考文献
西良 浩一:腰椎分離症
吉田 徹:成長期分離症の診断と治療
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