理学療法士のハルです。今回は、「ヘルニアは吸収されて無くなるのは本当?」というテーマでみなさまにご紹介します。
この記事は3人の患者さんのために書きました
ヘルニアが無くなる仕組みとは?
ヘルニアは無くなることがあると聞いたのですが、私のヘルニアもなくなる可能性があるのでしょうか?
ヘルニアにはなくなりやすいタイプとなくなりにくいタイプがあることが分かってきています。
まずはどのようにしてヘルニアが無くなるのかをみていきましょう。
脱出ヘルニア マクロファージによる吸収
ヘルニアが起こると脱出したヘルニアの塊の周りにはマクロファージが集まり、異物反応として吸収される
ということが報告されています。
そもそもマクロファージとは 役割や割合は?
マクロファージは白血球の1種です。
白血球には顆粒球(かりゅうきゅう)、単球、リンパ球があります。
単球が血管から組織に出て発達したものをマクロファージと呼びます。
単球は直径が10~18μmと白血球の中では大きい方で、単球が白血球に占める割合は4~10%程度となります。
マクロファージの役割は、体内への侵入者を攻撃する役割があります。
ヘルニアが吸収されやすいタイプ、吸収されにくいタイプ
近年になって、腰椎椎間板ヘルニアが吸収されることが知られるようになってきました。
では、どのようなヘルニアが吸収されやすいのかをみていきます。
様々な文献上で吸収されやすいものとして
①MRIにてヘルニアのサイズが大きいもの
②髄核脱出(Extrusion Type)、髄核分離(Sequestration Type)の2つのタイプ
が挙げられています。
①はそのままの意味で、ヘルニアが大きいと無くなりやすいと言われています。
②の髄核脱出(Extrusion Type)、髄核分離(Sequestration Type)の2つのタイプについてですが、これはヘルニアを4つの出方に分類したうちの2つとなります。
次でこの2つのタイプをみていきます。
ヘルニアの形態分類
ヘルニアは4つに分類されています。そのうちの「脱出」と「分離」にあたるヘルニアはなくなりやすいと言われています。
実際に図で確認してみましょう。
違う角度からもみてみましょう。
「脱出」と「分離」タイプの2つはヘルニアが吸収されやすいと報告があります。
逆に「膨隆」と「突出」のタイプは吸収されにくいと言われています。
ヘルニアの分類の仕方が分からないという方はこちらのブログを参考に
ヘルニア分類ごとの吸収割合
これまでヘルニアには4つの分類があることをお話しました。
では、4つの分類がそれぞれどの程度、吸収されるのかをデータを通してみていきたいと思います。
「分離タイプ」…96%
「脱出タイプ」…70%
「突出タイプ」…41%
「膨隆タイプ」…13%
と報告されています。
(腰椎椎間板ヘルニアガイドラインより)
ヘルニアの自然吸収率、吸収の時期
腰椎椎間板ヘルニアガイドライン2022によると
自然吸収率は66.6%であった
と報告されています。
また
ヘルニアの症状は発症から平均1.3ヶ月で改善しており、画像的には9.3ヶ月で退縮していた
と報告があります。
しかし、その他の論文上では2~3か月で吸収されるという報告もあります。
腰椎椎間板ヘルニアは基本的には保存療法だが…
近年になってヘルニアは吸収される病気であるため基本的には保存療法が原則とされてきました。
しかし、放置することで下肢の麻痺症状が進行したりすることもありますので必ず医療機関に定期的に受診することをお勧めします。
まとめ
今回は、ヘルニアの吸収されやすいもの、されにくいものをご紹介しました。
必ずしも吸収されるわけではないので定期的に病院受診を心掛けてください。
ご自身のヘルニアがどの分類にあたるかは主治医に確認してみてくださいね
引用・参考文献
大矢 卓、白土 修:腰椎椎間板ヘルニアの病態と治療
大地 陸男:生理学テキスト第4版
波呂 浩孝:腰椎椎間板ヘルニアの病態、診断、治療方針
宮本 雅史:腰椎椎間板ヘルニア 診療ガイドライン改訂第2版
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