理学療法士のハルです。
「実体験を語る」では私が実際に現場で経験させて頂いたリハビリについてお話します。
今回のこの記事を読んで頂くことで「腰の術後に残っていた症状の原因は他にもあるかもしれない」と考えるきっかけになります。
術後も症状が続く理由とは?
この記事を読んでくださっている方の中にもいらっしゃるのではないでしょうか?
腰部脊柱管狭窄症やヘルニアの手術をしても腰痛や足のしびれがとれない方が・・・
それについて悩んでいる方も多くいらっしゃると思っています。
手術をしても症状が取れなかった理由
単刀直入に言うと「そこに原因が無かった可能性がある」ということです。
腰痛や足のしびれの原因は脊柱管狭窄症やヘルニアばかりではないのです。
今回、ご紹介させて頂くFさんもそのような1人でした。
Fさんも他の病院で腰部脊柱管狭窄症に原因があると言われ、手術をしましたが腰痛や足のしびれが取れない方でした。
手術後には整骨院やリハビリにも通われていたようでしたが症状は変わりがなかったようです。
腰の術後から思った通りに仕事が出来ない
Fさんは来院された時に
「手術をしたけど立っていると足にしびれが来て、思った通りに仕事が出来ない」と言われました。
実際に、手術をしてもこのようにおっしゃる方が多いです。
そして悲しいことに手術をしたこと自体を後悔される方が多くいらっしゃいます。
なぜなら手術をしても症状が残るため退院しても普段の生活や仕事に戻ることが大変なのです。
Fさんはどうだったのでしょうか?
Fさんは来院された時、すでに腰部脊柱管狭窄症の手術をすでに何回もされていた方でした。
1度ならず、2度ならず、3度も・・・
1回目は腰椎の上の部分に金属(ボルト)を入れる手術
1回目は経過が良かったようですが、数年後に再発
再発したため2回目は固定した近くの腰椎にさらに金属(ボルト)を加える手術
2回目が終わっても経過が良くなく3回目の手術
3回目は抜釘術といって今まで入れた金属を抜く手術
ここまで手術しても良くならない。
初めは、私もさすがに難しいのでは?と思いました。
しかし何回もリハビリをしていくうちに少しずつ症状が緩和していきました。
最終的にFさんは足の痺れや腰痛は驚くほどよくなることが出来ました。
「しびれの原因について知りたい」という方は↓↓
腰の手術は必要なかった?・失敗なのか?
結論を言いますと、Fさんの場合は、手術は必要なかった可能性があります。
なぜなら、Fさんは脊柱管狭窄症が原因ではなかったから
そもそもの原因が違えば手術は不要となります。
手術が必要ではない原因の場合に手術をするとどうなるのか?
それは手術をしても症状が取れないことが多いということをお伝えしたいと思います。
ここで言っておきたいことは必ずしも手術が不要と言っているわけではありません。
腰の手術を行うことで症状が軽減したり緩和したりする方も大勢います。
しかし、重要なことは原因がその場所にあるかどうかです。
ヘルニアが原因であればヘルニアの手術を、狭窄症が原因であれば狭窄症の手術を
それぞれすることが必要になる可能性があります。
では、今回のFさんの手術は失敗だったのか?
手術をして症状が取れなかったことを考えれば失敗だったかもしれません。
ですが、救いだったことは神経などを痛めていなかったことです。
そこで私はなんとかなるかもしれないと思ったのです。
Fさんに限らず
手術をされた皆さんは覚悟を持って手術をして症状が良くなると思われています。
しかし、症状が良くならなければ
「手術をしても症状が変わらなかった・・・失敗だった」
「手術なんかしなければよかった。後悔した」
とそのように考えるのも無理はないと思います。
ですが、少しだけこのように考え方を変えてみる事はできないでしょうか?
「手術をして症状がとれなかった=手術が失敗」という考え方から
「手術をして症状がとれなかった⇒原因が違う所にあるかもしれない」と
視点を変えることが出来ないでしょうか?
そう思って頂くと「少しだけでも変わる可能性があるかも」
そんな希望が少しは持てないでしょうか?
腰の術後に続く症状⇒違う原因を探す
「腰の手術後に症状が残る⇒違う所に原因がある」ことをお伝えしました。
そしてそれを探して真の原因を見つけることが大切です。
では実際、Fさんの真の腰痛と足のしびれの原因はなんだったのでしょう?
Fさんの腰痛と足のしびれ 本当の原因は?
まずは、Fさんの腰痛の原因から考えてみたいと思います。
そもそも、腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアといった病気で腰痛が必ず出現するわけではありません。
むしろこの2つの病気が本当の原因になる時は足に症状が出ます。
ですのでFさんが腰痛を訴えていた時、脊柱管狭窄症以外の原因を考えていました。
Fさんは長時間立っている時と座っている時に腰痛が出現してくるとおっしゃられていました。
この時の訴えから一番に考えられる原因は「筋肉」です。
腰の筋肉を触ってみるとものすごく張っていました。
また、Fさんは腰の手術を何回もしたため手術をした周りの筋膜もすごく状態が悪かったです。
筋肉や筋膜以外の原因としては、体を動かした時に出現していた「仙腸関節の痛み」もありました。
「仙腸関節について知りたい」という方は↓↓
仙腸関節とは骨盤の所にある関節です。
この関節はドクターが苦手とする関節です。
なぜなら、画像での異常がみつからない関節だからです。
私は、さっそくFさんの仙腸関節や腰の筋肉・筋膜の治療を始めると腰痛は徐々に改善していきました。
次に待っていたのが、足のしびれでした。
痺れは神経や血管、関節や筋肉など様々な原因で起こると言われています。
大切なことは「どこが原因でしびれが起きているのか」ということ。
Fさんの仕事は長時間立っている仕事や坂道を上ることが多いと言っていました。
そのような方々はこぞって筋肉や筋膜が悪い方が多いのです。
私は、やはりまずは筋肉や筋膜から治療を開始することになりました。
触ってみるとやはり筋肉も筋膜の状態も良くない状態でした。
それはなぜか?
身体的に負荷のかかるお仕事をされているのも事実です。
しかし、私が思うのは・・・
何年間もずーっと誰からも気づかれず、放置されていたからです。
整骨院に行ったり、他の所でリハビリもしていたのに気づかれないのはとても悲しいことです。
Fさんの真の原因をみつけて治療をしていくと徐々に足のしびれも減っていきました。
そして数か月後には最終的に自分でセルフケアが出来るまでになりリハビリ卒業を迎えたのでした。
腰の術後も症状が続く方へ
最後になります。
術後に症状が残る方がいらっしゃれば、私はまず「原因は違う所にある」と思ってリハビリを始めます。
腰の手術をしてとれなかったことは残念であったと思います。
ですが、他に原因がある可能性があります。
その希望を持って治療に励んで頂けたらと思います。
まとめ
腰の術後に症状が残る場合は、原因が違う場所にある可能性のことをお話しました。
腰の術後も症状が残っている場合は「違う所に原因があるのかな?」と考え直すきっかけになればと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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