理学療法士のハルです。
今回は、腰痛の原因の1つである「椎間関節性(ついかんかんせつせい)腰痛」について分かりやすく解説します。
この記事は3人の患者さんのために書きました
※記事を読まれる前に※
今から説明する椎間関節性腰痛の場所は赤〇で示している場所辺りです。
椎間関節性腰痛
椎間関節性腰痛とは何でしょうか?
腰痛の原因の1つに椎間関節性腰痛があります。
椎間関節と呼ばれる関節があり、そこの場所で起こる腰痛を椎間関節性腰痛といいます。
1つずつみていきましょう。
椎間関節の構造
背骨全体を脊柱(せきちゅう)と呼びますが、腰の部分は腰椎(ようつい)と呼ばれます
腰椎には5つの骨があります。
腰椎と言われる骨は前方(お腹側)では椎間板が、後方(背中側)では2つの椎間関節が体重を支えています。
(椎間関節は荷重の約16%を担っていると言われています。)
腰椎は英語で「Lumbar」と表されるのでその頭文字をとって上から順番に
第1腰椎はL1、第2腰椎はL2、第3腰椎はL3、第4腰椎はL4、第5腰椎はL5と呼ばれています。
この腰椎と呼ばれる骨で椎間関節が出来ます。
例えば、下の写真のようにL3(第3腰椎)とL4(第4腰椎)の間でL3/4椎間関節ができます。
この椎間関節は左右にあります。
椎間関節性の腰痛 割合
以前の記事でご紹介しましたが、山口県腰痛スタディにおいて椎間関節の痛みは腰痛患者のうち約20%前後と報告されています。
実際の臨床現場の中でも椎間関節の痛みは良く遭遇する痛みです。
「山口県腰痛スタディについて知りたい方」はこちらの記事↓↓
椎間関節性腰痛の診断(画像診断)
椎間関節の診断としては、体を後ろに反ることで椎間関節への負荷を高めて痛みの確認をします。
また、体を反った状態からさらに左右のどちらかに捻るkemp signと呼ばれるテストを行います。
この場合の写真であれば右側の椎間関節部にストレスがかかります。
右側の椎間関節に問題があれば右の椎間関節に痛みを生じます。
(左側に捻れば左側の椎間関節部のストレスをかけることが出来ます。)
また、痛みが出現している椎間関節部の圧痛を見ることも診断の1つとして取り入れられています。
では、次は画像診断についてです。
レントゲンなどで行う画像診断は有用ではないとされています。
椎間関節に変形があっても痛い患者さんもいれば、痛くない患者さんもいます。
ですので、様々な検査を組み合わせて診断を行っていくことが重要とされています。
なぜ椎間関節が痛いのか? 痛みの原因
記事の始めでお話しましたが、椎間関節は後方で荷重を担っています。
ですので、体を後ろに反った時に椎間関節への負荷がかかります。
無理なストレスが椎間関節にかかることで痛みを発生します。
では、何が痛みを感じとるのでしょうか?
それは、椎間関節には下の図のように関節を覆うようにして関節包と呼ばれる袋状の組織があります。
この袋状の組織には痛みを感じる所が多く存在するとされており、痛みの発生源になりやすいとされています。
椎間関節内にも痛みを感じる神経線維が多くあるとされており、このことで椎間関節自体の痛みが出ていると考えられます。
椎間関節性腰痛になりやすい人 気をつける事
椎間関節性の腰痛は体を反る事が多い人になりやすいとされています。
例えば、スポーツをしている方は多いです。
バレーボールのスパイクで体を反ったり、サッカーでのボールを蹴る際に体を反ったりする方はなりやすいので注意が必要です。
スポーツ選手においては体の柔軟性の獲得と体幹筋力の向上が必要となります。
主婦などの方で日常生活で気を付ける事は、動作洗濯物を干す動作や台所で高い物をとろうとした際に体が反らないように注意が必要です。
高い所の物を無理に背中を反って取ろうとするのではなく、椅子などを使って高い所の物を取るなど、背中を反らないようにするなどの工夫が必要です。
体を反るということは腰の柔軟性だけでなく足や上半身の柔軟性も必要となってきます。
「椎間関節痛のリハビリ」についてストレッチ編と筋トレ編をアップしました。知りたい方は↓↓
まとめ
今回は腰痛の原因の1つである椎間関節性腰痛について話をさせて頂きました。
体を反る機会が多い人がなりやすい腰痛です。
リハビリのやり方についてもアップしましたので是非ご覧ください。
最後までお読みいただきありがとうございました
引用・参考文献
鈴木 秀則、田口 俊彦:椎間関節性腰痛
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