普段は聞きなれませんが、骨盤にある仙腸関節(せんちょうかんせつ)が痛みの原因と言われました。
どのような病気なのでしょうか?
初めて仙腸関節という言葉を聞いた方にオススメの記事です。
この記事は3人の患者さんのために書きました
※記事を読まれる前に
今から説明する仙腸関節の場所は赤〇で示している場所辺りです。この辺りに痛みがある方は仙腸関節性腰痛の可能性があります。
この記事は約3分で読む事が出来て、「仙腸関節のいろは」が分かります。
「仙腸関節に効く筋トレのやり方を知りたい」という方はこちらの記事へ↓↓
「仙腸関節以外の腰痛の原因を知りたい」という方は↓↓
仙腸関節を分かりやすく説明
仙腸関節って普段聞きなれない言葉ですよね?
ですが、皆さん1人1人に心臓があるように「仙腸関節」という場所も人間の体の一部であります。
普段聞きなれない病気ではありますが、最近では俳優の米倉涼子さんがなられた病気です。
今回の記事では、仙腸関節の場所や役割、特徴について説明していきますね。
出来るだけ分かりやすくするために、イラストや写真を使ってますので是非最後まで見られてください。
仙腸関節の場所はどこ?
まず始めに、仙腸関節は仙骨と腸骨と呼ばれる骨で出来る関節です。
仙骨の「仙」と腸骨の「腸」をとって仙腸関節と呼ばれています。
仙腸関節痛の割合
報告によって差があり、腰痛全体の10%が仙腸関節の痛みであると報告されている方もいらっしゃれば、30%と報告されている方もいらっしゃいます。
仙腸関節痛は妊娠や出産を機になるとされており女性の方や妊婦さんに多いとされています。
しかし、実際の臨床現場の中では老若男女問わずかかる病気です。
仙腸関節の動き方(ニューテーションとカウンターニューテーション)
仙腸関節は数ミリ程度しか動かないとされています。
仙腸関節の代表的な動きには仙骨のニューテーションと仙骨のカウンターニューテーションという動きがあります。
下の図は仙骨のニューテーションという動きを示しています。
仙骨という骨には赤い☆を付けています。この骨が赤矢印のようにお辞儀するように前方へうなずく運動をニューテーションといいます。
では、次は仙骨のカウンターニューテーションの動きについて説明します。
再び仙骨という骨には赤い☆を付けています。この骨が赤矢印のように起き上がるように動くことをカウンターニューテーションと呼びます。
仙腸関節の役割 ダンパー作用
仙腸関節の役割についてですが、ふと疑問に思うことはなかったでしょうか?
仙腸関節の動きは数ミリ程度とお伝えしましたが、「それだけしか動かないのに重要なのか?」、「その程度の動きで本当に痛みが出るのか?」などなど・・・
しかし、この仙腸関節がとても重要なのです。
実は、仙腸関節にはダンパー作用があると言われています。
自動車や飛行機にもダンパーと呼ばれる緩衝装置がとりつけられています。
このおかげで急激な衝撃を抑えることが出来ています。
人間には仙腸関節がダンパーの役割となるため、走ったり、ジャンプをしてもケガをせずに運動やスポーツが出来るのです。
仙腸関節の診断(画像診断)・仙腸関節ストレステスト
次に仙腸関節の診断についてです。
仙腸関節は先程から申し上げている通り、数ミリ程度の動きしかありません。
そのため基本的にはレントゲンやMRI画像、CT画像などの画像検査では分かりません。
ではいったい、お医者さんはどうやって診断をするのでしょうか?
それは痛みの場所の確認や仙腸関節ストレステストを用いて行います。
1つずつ説明をしていきます。
one finger テスト
まず痛みの場所の確認ですが、one finger testと呼ばれるテストが行われます。
これです。
one finger(ワン フィンガー)と呼ばれるくらいですので指一本で出来るテストです。
仙腸関節が痛い方は下の写真のように骨盤にある上後腸骨棘(じょうごちょうこつきょく)と呼ばれる所が痛むため、その場所を指一本でさすことが出来ます。
だいたいの目安としてはズボンの少し上くらいです。
また、ズボンのベルトをされる方ならベルトの下端部分にその場所があります。
これは患者さんがこの場所を知っているのではなく、仙腸関節に痛みがある方はここを指でさすことが出来るのです。
仙腸関節の痛みかな?と思ったかたは一度確認されてみてください。
整形外科的テストー仙腸関節ストレステスト
仙腸関節の診断には仙腸関節ストレステストと呼ばれるテストが行われます。
これらのテストを行い仙腸関節に痛みが出るかどうかをみていきます。
この仙腸関節ストレステストについては何種類かあり先生や理学療法士の考え方によってさまざまです。
また、同じテストでも呼ばれ方が違ったりしています。
今回、ここでは「5つの仙腸関節ストレステストがありますよ~」ということだけ紹介します。
distraction (ディストラクション)テスト
体の前側から行います。骨盤の内側から外側へ負荷をかけ仙腸関節に痛みが出現するかをみます。
thigh thrust (サイスラスト)テスト
足をベッドに押し仙腸関節に圧をかけ、痛みの確認を行います。
gaenslen(ゲンスレン) テスト
股関節を伸ばそうとして圧をかけ、痛みの確認を行います。
compression (コンプレッション)テスト
患者さんに横向きになってもらい骨盤に圧迫をかけ負荷をかけ、痛みの確認を行います。
sacral thrust(セイクラルスラストorサクラルスラスト) テスト
うつ伏せになってもらい仙骨部に圧をかけ痛みの確認を行います。
仙腸関節痛 痛みの原因の事実
最後になりますが、「仙腸関節の痛み」について話をさせて頂きます。
ここで驚きの事実があります。
ずっと仙腸関節痛と言っていますが・・・
実は仙腸関節痛は「ほとんどが関節自体の痛みではない」のです。
「え?」って思われるかもしれないですね。
仙腸関節痛の主な痛みの原因は仙腸関節の周りの後仙腸靭帯(こうせんちょうじんたい)と呼ばれる靭帯の痛みなのです。
ですので、整形外科の先生方が打たれる「仙腸関節ブロック注射」は関節ではなく靭帯に打ちます。
関節にも痛みが出る事がありますが、私の経験上はほとんどが仙腸関節の靭帯の痛みと考えています。
この靭帯にストレスがかからないようにリハビリを行ったり、日常生活を送ることが必要と考えています。
「仙腸関節痛を自分で治す リハビリのやり方・治し方」の筋トレ編ついてアップしました。
オススメの書籍
理学療法士をはじめとしたリハビリ職の方にオススメの書籍です。
まとめ
腰と臀部の痛みの原因の1つである仙腸関節についてお話をさせて頂きました。
仙腸関節は誰にでもある関節で、誰にでも痛みが起こる可能性があります。
今回の記事で少しでも仙腸関節についての理解が深まったなら幸いです。
最後まで読んで頂きありがとうございました
引用・参考文献
・村上 栄一:仙腸関節由来の腰痛
・荒木 秀明:非特異的腰痛の運動療法
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