理学療法士のハルです。今回は、私が実際に現場で経験させて頂いたリハビリについてお話させて頂きます。
病院間・理学療法士間での知識と技術量の違い
以前、私が担当させて頂いた患者さん(Aさん)についてお話をさせて頂きます。
Aさんは腰痛があり、以前よりリハビリに通っている方でした。
しかし、Aさんは自宅の片付けをしていたところ腰痛となり、他の病院へ入院しなくてはなりませんでした。
そして、Aさんが他の病院を退院されて再度、私の所に姿をみせてくれたのです。
しかし、Aさんはなんと車いすになっていたのです・・・
もともと普通に歩けていたのに車いすで来られたのです。しかも、もう数か月も経過しているのに・・・
私は思わずAさんに「Aさんにどうされたのですか?」とお聞きしました。
Aさんは「腰を骨折してしまったみたいで、足にも力が入らなくなったみたい」といいました。
Aさんから頂いた、他の病院のサマリー(情報提供書)をみてみると担当の理学療法士からは
「骨折をしたため腰痛もあり、足の廃用があり歩けなくなりました。」と書類には記載がありました。
(廃用とは:臥床期間が長く足や全身の筋力が弱ること)
私は心の中で「腰の骨折で痛くて廃用??」と思ってしまいました。
Aさんが腰を痛められてから数か月が経過しており、普通に考えて数か月も経っていれば年配の方でなければ歩けるようになっているのでこれはおかしいと思いました。
さっそくAさんのリハビリをさせて頂くことになりました。
Aさんの検査をしていくとおかしな事がいくつも出てきました。
まず、骨折の場合の腰痛は腰椎圧迫骨折が挙げられます。
圧迫骨折であれば腰回りを叩く叩打痛がありますが、ありません。
サマリーの記載とは違い圧迫骨折や腰痛が原因ではないようでした。
また、足には力が入らず、立つこともままならない状態です。
足の腱反射と呼ばれるものについても亢進していたのです。
他にもお腹やお尻や会陰部、足の感覚が鈍麻(足の感覚が分かりにくいこと)をしていたり、排便や排尿が分かりにくいとおっしゃっていたのです
私は「これはまずい!!」と思いました。
それは、膀胱直腸障害と呼ばれる症状まで引き起こしていたからです。
この状態であれば早期に手術が必要となるからです。
AさんとDrへ報告をして大きい病院を勧める事になりました。
しかし、私には1つだけ腑に落ちない事がありました。
それは、腰の病気であるはずなのに何故か足の反射が亢進していることでした。上肢症状(腕の症状)もないのに何が原因なんだろうと?
Aさんが行った病院では腰には「異常はない。経過観察」と言われたようです。
では何が原因だったのでしょうか?
違う病院での精密検査
その後、Aさんはまたまた違う病院で精密検査を受ける事になりました。
するとAさんの病気の原因が分かったのです。
原因は“首”でした。
なんと首の下の方の脊髄が圧迫を受けていたのです。
首の下側が圧迫を受けると上肢には症状が出ない可能性があります。
首の下部であれば上肢の症状がなく足の麻痺が出現したり腱反射が亢進していた理由も分かります。
そうしてAさんは首の手術を受けました。
Aさんは手術を受けてからは様々な症状が改善されました。
足の力も入る(麻痺が改善)ようになり歩けるようになるまで回復することが出来ました。
私は、この経験を通して理学療法士や病院間でものすごく知識量や技術量に差が出てしまうのだと痛感しました。
私の家族に何かある時はしっかり患者さんを診ることが出来る病院や医師、コメディカルの病院を受診することが必要だと改めて実感させられる出来事になったのです。
まとめ
症状が良くならない時にはセカンドオピニオン、サードオピニオンも検討した方が良いのかもしれません。
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