理学療法士のハルです。今回は、「腰部脊柱管狭窄症とは? 原因・症状・分類」というテーマでみなさまにお話します。
この記事は2人の患者さんのために書きました。
腰部脊柱管狭窄症とは?
腰部脊柱管狭窄症という病気はテレビなどで良く目にしますが、神経を圧迫しているのかな?という程度で詳しくは分かりません。
腰部脊柱管狭窄症は約350万人と多くの患者さんがいらっしゃるためテレビなどでもよくご覧になることがあると思います。
本日は腰部脊柱管狭窄症について解説していきますね。
日本脊椎脊髄病学会によりますと腰部脊柱管狭窄症は
背骨には神経の通り道である脊柱管と呼ばれる孔があります。長い年月の間、体を支え続けていると背骨が変形して脊柱管が狭くなってきます。腰椎部で脊柱管が狭くなった状態を腰部脊柱管狭窄症と呼びます。
と定義されています。
これから先は腰部脊柱管狭窄症の原因や症状などを1つずつみていきたいと思います。
腰部脊柱管狭窄症 原因は?
腰部脊柱管狭窄症は椎間板や黄色靭帯、椎間関節といった組織の変性や肥厚によって脊柱管や神経根が圧迫することによって下肢の痛みや痺れが生じます。
(下の図では右側が正常の椎間板や脊柱管を表しています。左側が脊柱管狭窄症の椎間板や脊柱管の状態となります。)
参考程度にMRI画像もみてみましょう。
(このMRI画像も上の図と同じ向きで作成しています。右が正常、左が脊柱管狭窄を表しました。)
腰部脊柱管狭窄症の症状発生のメカニズム
実は、腰部脊柱管狭窄症の症状発生のメカニズムに関しては十分に解明されていないんです。
主な仮説としては、馬尾神経や神経根が圧迫を受けたことによる機械的圧迫、神経の血流障害、そして圧迫による静脈の還流障害や栄養障害があげられている。
動物実験では馬尾神経の慢性的な圧迫によって神経内の血流が障害されることが示されています。
腰部脊柱管狭窄症の併存症
腰部脊柱管狭窄症ガイドライン2021によると
内科的併存症については、高血圧や糖尿病が腰部脊柱管狭窄症の危険因子である
とされています。
また、その中で紹介されていたこととして、50歳以上の腰部脊柱管狭窄症をお持ちの男性1218名と女性1636名の調査を行うと50歳~69歳の男女ともに高血圧と糖尿病を合併している割合が多かったと報告されています。
腰部脊柱管狭窄症の症状とは?
腰部脊柱管狭窄症は様々な症状があり、特徴もあります。
腰部脊柱管狭窄症は腰椎疾患ではありますが、症状としては腰痛ではなく神経障害にによる下肢症状です。腰痛は必須ではない。
とされています。また、特徴については、
立位または歩行の継続で下肢の痛みや痺れが出現または増悪して座位など安静や短い休息で症状が改善して再び歩行可能となる神経性間欠跛行があります。
腰部脊柱管狭窄症の分類
腰部脊柱管狭窄症は、歩行負荷によって生じる自覚症状および他覚所見をもとに3つの分類がされています。
神経根型:片側または両側の下肢の痛みが主な症状
馬尾型:両下肢から足底にかけてのしびれが主な症状
混合型:神経根型と馬尾型の両方の特徴を有する。
以上、3つの分類となります。
馬尾型では選択的神経根ブロックを打っても間欠性跛行は改善しないが、神経根型ではブロック後に間欠性跛行は一時的に消失するとされています。
実際の臨床上で、神経根型の患者さんのブロック後は一時的に症状軽快していたことを経験します。
では、この3つの分類を一覧表にしておさらいしてみましょう。
神経障害型式 | 自覚症状 | 他覚所見 |
馬尾型 | 下肢・臀部・会陰部のしびれ | 多恨性障害 |
神経根型 | 下肢・臀部の痛み | 単根性障害 |
混合型 | 馬尾型+神経根型 | 多恨性障害 |
大谷はこの分類について
この病気分類の優れいているところは保存療法を含めた自然経過を予測することがある程度出来ること
としています。
神経根型の場合は、経過により症状を改善する場合がある。
馬尾型の場合は、いったん症状が出現すると症状が軽減することは少ないとされる。
ご自身がどのタイプなのか症状を確認したり病院で聞いて判断されてみてくださいね。
まとめ
今回は腰部脊柱管狭窄症の原因、症状、分類について話させて頂きました。
腰部脊柱管狭窄症の症状だけでなく、分類によって症状の出かたや予後も違うということをお話しました。
次回は腰部脊柱管狭窄症の診断と間違いやすい病気についてもアップしていきます。
引用・参考文献
・大谷 晃司:腰部脊柱管狭窄症
・日本脊椎脊髄病学会より引用
・腰部脊柱管狭窄症ガイドライン2021
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