理学療法士のハルです。今回は、「筋筋膜性腰痛」について説明させて頂きます。
筋筋膜性腰痛と呼ばれていますので、その原因は筋肉と筋膜にあります。
今回はそのうちの1つである筋肉について分かりやすく解説します。
この記事は4人の患者さんのために書きました
※記事を読まれる前に※
今から説明する筋筋膜性腰痛の場所は赤〇で示している場所辺りです。
筋筋膜性腰痛 ~筋肉編~
私も長時間座っていると腰に痛みが出ますが、筋肉が原因でしょうか?
ずっと座って痛い方は筋筋膜性腰痛の可能性があります。
そして筋肉が原因の可能性があります。
では、「筋肉と腰痛」についての説明させて頂きますね
体幹の筋肉を確認
腰を含めた体幹にはいくつかの筋肉が存在します。
体幹の筋肉は主にインナーマッスルとアウターマッスルに分けられます。
まずはインナーマッスルから見ていきたいと思います。
インナーマッスル
インナーマッスルとは、体の深部に存在するため関節を安定させる役割がある筋肉となります。
①多裂筋(たれつきん)
多裂筋は最も腰椎に近い所にある筋肉です。腰椎近くにある筋肉のため腰椎の安定に関与します。
②腹横筋(ふくおうきん)
腹横筋はお腹の最も深い所に位置する筋肉です。腹横筋が働く事でお腹の圧が上昇し体が安定するとされています。
また、骨盤にある仙腸関節の安定性にも関与します。
アウターマッスル
アウターマッスルは体の表層にある筋肉になります。体を動かすために力を発揮する筋肉となります。
①最長筋(さいちょうきん)
脊柱起立筋の中では中間に位置します。腰部では多裂筋の外側に位置する筋肉です。
主に体を伸ばす筋肉となります。
②腸肋筋(ちょうろくきん)
脊柱起立筋の中では最も外側に位置します。
主に体を伸ばす筋肉となります。その他、体を捻る働きもします(書籍によっては体を横に倒す働きもあるとされています)
③腰方形筋(ようほうけいきん)
腰方形筋は体の外側にある筋肉です。
主に体を横に倒したり、骨盤を引き上げたりする働きがあります。
④腹直筋(ふくちょくきん)
腹直筋はお腹の真ん中にある筋肉です。一般的に腹筋と呼ばれている筋肉です。
体を前に曲げる働きがあります。
⑤外腹斜筋、(内腹斜筋)
外腹斜筋は腹部の外側にある筋肉です。
内腹斜筋は中間にある筋肉です。(書籍によってはインナーマッスルにも属すると書いてあることがありますが、ここではアウターマッスルとしてあげています)
インナーマッスルが弱いと腰痛の原因になる?
インナーマッスルが弱いと関節が不安定な状態となります。
その状態でアウターマッスルが働いてしまうと関節に負荷がかかり痛みが出現します。
大切なことはまずは体にインナーマッスルを使うんだよと教えること。
インナーマッスルをしっかりと使うことで関節が安定します。
インナーマッスルを働かせた状態でアウターマッスルの運動をすることが重要になります。
筋肉で痛みは感じるのか?
以前の記事で筋膜と痛みについて話をさせて頂きました。
その際に、筋膜には痛みを感じるが侵害受容器があることをお伝えしました。
今回の記事で取り上げた、筋肉はどうだと思いますか?
実は、筋肉自体には痛みを感じる侵害受容器は存在しないのです。
皆さん、少しびっくりしませんか?
色んな所で治療された事がある方は、「筋肉が硬いから痛いんですよ~」とか「筋肉が張っているから痛いんですよ」と言われた方も多いのではないでしょうか?
では、実際には何が痛みを感じていたのか、私見を交えて話をさせて頂きます。
筋肉と腰痛の関係
筋肉には痛みを感じる侵害受容器は存在しないことを説明してきました。
ですが、運動とかで筋肉が張って痛みが出た事がある方も多いと思います。
筋肉には痛みを感じる神経は無いけど、なぜそのような事が起こるか私見を交えて説明していきます。
筋肉が原因で起こる痛みのパターンは主に2つと考えられます。
①炎症が起こるパターン
②非炎症(炎症ではない)パターン
①炎症パターン
使いすぎや外傷で筋肉に炎症が起こるとします。
炎症が起こると刺激物質(ブラジキニン、ヒスタミン、セロトニンなど)が産生されます。
この産生された刺激物質が筋膜を刺激し痛みを感じる事になります。
②非炎症パターン
例えばですが、インナーマッスルが弱いため姿勢が悪く脊柱起立筋などのアウターマッスルが頑張り、筋肉がパンパンに張っているとします。
アウターマッスルは疲れやすいので疲労物質や疼痛誘発物質が溜まりやすいと思われます。
また、アウターマッスルが頑張り筋肉がパンパンになると血行の流れが悪くなるため疲労物質や疼痛誘発物質が流れることなく溜まりやすいことが予想されます。
このようにして溜まった疲労物質や疼痛誘発物質は近くの筋膜まで運ばれて痛みを感じる事になると思われます。
以上2つが筋肉が原因で起こる痛みの原因でした。
ただ、痛みを感じるのは筋肉ではなく筋膜であることも重要です。
筋筋膜性腰痛の診断
筋筋膜性腰痛では問診や触診、運動検査などを複合的に行い診断していくのが基本になる思われます。
①問診
いつから痛いのか? なぜ痛くなったのか? 疼痛が強くなる姿勢の確認など
②触診
腰の筋肉や筋膜に圧痛があるか
③運動時の痛み
筋肉を収縮させたときの痛み(ギュッと詰まるような痛み)
筋肉を伸ばした時の痛み(突っ張るような痛み)
③長時間の同一姿勢での腰痛確認
長時間の同一姿勢(座位、立位など)で腰痛が出現するかの確認
④エコー画像による確認
このように複合的に検査を行い診断していきます。
まとめ
筋筋膜性腰痛の筋肉に着目して説明させて頂きました。
筋肉に炎症が起こったり、疲労が起こると痛みを感じる刺激物質が出てきます。
ですが、筋肉自体には痛みを感じる侵害受容器はなく、筋膜で痛みを感じるということをお伝えしました。
最後までお読みいただきありがとうございました
引用・参考文献
斎藤 昭彦:脊椎の文節的安定性とのめの運動療法
水村 和枝:筋・筋膜性の痛みにおける神経栄養因子の働き
「筋肉ではなく筋膜と腰痛の関係について知りたい」という方はこちらの記事をどうぞ
コメント